At The Drive-In - In/Casino/Out (1998)

※2020年8月24日 投稿
※2020年12月10日 体裁の調整、関連作品の追加

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ATDIの2ndアルバム。

3rdアルバムの『Relationship Of Command』は、モダン化したポストハードコアという印象で、”怒”の暴力的なエネルギーが凄まじくて聞きごたえがある作品だけど、それに比べると、今作はもう少しラフな音質で、音に隙間・緩急があり、よりリラックスして聴ける。自分の知っているバンドだとCap'n Jazzに近い質感を感じる。

良い曲はたくさんあるけど一番好きなのは、M-11「Transatlantic Foe」。曲の音楽的な特徴の話をすると、この曲は、ギターのアルペジオを主体に展開するスローなパートと歪んで潰れたようなギターリフを繰り返す疾走パートから構成されている。静から動へと目まぐるしく変化するギターとベース、大胆な高速フィルインで曲の爆発力をさらに高めるドラム、感情を全て吐き散らすように激しく歌うボーカル。それらが絡み合い、激しくもどこか緩い最高のグルーヴが生まれている。

映画をほとんど見ない人間の妄想の話だけど、青春映画のEDでこの曲が流れたら最高だろうなと想像する 。17歳くらいの高校生が、何かの出来事を機会にして打ちひしがれ、ひどく閉じ籠った状態になってしまうのだが、ある日突然何かをきっかけにして、衝動的に家を飛び出す。海辺の小さな街には昼間ながら人の姿はなく、晴天の下、彼は海から跳ね返る太陽の光を受けながら、一人自転車を走らせて下り坂を進んでいく。その表情には、苦痛の陰はない。力強い意志を持ってもう一度世界に向かっていこうとしているのか、あるいは、一時的な熱に浮かされただけの無鉄砲さで突き進んでいるのか、それとも、生きていくことを諦めてそのまま海へ飛び込んでしまおうとしているのか。彼が何を思って、どこへ向かっているのかは明示されないまま、映画は終了する。

 

……というのはどうでしょうか?

 

 

関連作品

本文でも言及したバンド、Cap'n Jazzの編集盤。

na2winter.hatenablog.com