先日、神保町にある『欧風カレーボンディ』に行ってきた。
以前、大学の生協食堂とコラボしていたのがきっかけで名前は知っていたが、ようやく訪問できた。いつも人の列が絶えない人気店だと知っていたので、お昼のピーク時は避けて13時頃に来店したものの、それでもビルの外まで長蛇の列が溢れていた。結局一時間と少しくらいの時間待っていた気がする。
これは来店時には知らなかったことなのだが、少し調べて分かったことがあるのでここに記しておく。「欧風カレー」の名を掲げたお店は都内にいくつもあるが、それはヨーロッパのカレーという意味ではないらしい。江戸末期から明治の初めごろにかけて、インドからイギリスを経由して日本に伝わった「カレー」という料理は、高級の外食料理からスタートした。それから少しずつ提供店が増えていき、一般家庭でも作られるほどに人口に膾炙する。そうした中で、1973年に村田紘一氏の手によって『ボンディ』が開業する。村田氏は、それ以前のカレーの作り方に対して、自身がフランスで学んだ独自のアレンジを施すことで、独特の味わいを作り出すことに成功した。そして創業した自身の店舗に『欧風』の名を冠した。結果、伝統的なカレーの流れとは別に、『ボンディ』のフォロワーとして、同じように「欧風カレー」を名乗る店舗が立ち現われ、ジャンルとして確立されていく。
『ボンディ』の日本のカレー史における立ち位置はこんなところらしい。実際には、その歴史はもっと複雑であるだろうが、インターネットで簡単に調べて自分が理解したのはこんなところだ。こうして文脈を意識して料理を食べてみるのも楽しいのかもしれない。
さて、それでは、料理の感想に入る。まず提供されたのは、2つの暖かいポテト。この無料で提供されるポテトには、カレーに入っていないじゃがいもを食べてほしいという思いや、学生にお腹いっぱいになってほしいという思いが込められているらしい。サプライズのサービスの嬉しさに感謝しつつも、添えられているスプーンで、ホクホクのジャガイモをうまく割ってあげてから口に入れる。10月の肌寒さに耐えて待った身には、暖かさが沁みるようで、すごくおいしい。自分は2つともバターをつけてイモだけでいただいたが、カレーに混ぜて食べてみるのも良いかもしれない。そして、次に届いたのはビーフカレー。牛肉は良く火が通って柔らかくて、口に入れてみると溶けるようですごく感じがいい。カレールーは、辛さの中にも極上の甘さがある。この甘さが「欧風」の秘訣なんだろうか。牛肉の柔らかさとその甘さがうまく調和していて、食が進む。ご飯にはチーズがかかっていて、チーズ好きの自分にはそれも嬉しい。添えられた梅干しも良い味を出している。1000円を超える額をするだけあって、ボリュームもかなりあった。自分はお腹いっぱいになりたくて大盛りを頼んだが、普通盛りの分でも充分なボリュームがあった。ちなみに、写真を見てもらえば分かるように、カレーとご飯は別々に出される。自分は、はじめ食べ方が分からなくて、ナンをルーにつけてから食べるように、スプーンにご飯を入れてからそれをルーに浸して食べていたのだが、隣の人の様子をちらっと覗いてみたら、先にルーを全部ご飯にかけてから食べていた。(ちなみに、ご飯とルーが別の容器に盛られて提供されるカレーを「カレーライス」と呼び、同じ器に盛られたものを「ライスカレー」と呼ぶらしい)
今度行く機会があれば、甘口でもいただきたい。
5.0/5.0
参考文献
欧風カレーは日本生まれでヨーロッパに存在しないと言い切る根拠 - カレーパフォーマー加藤のスパイスカレー探訪記
欧風カレーには日本人の憧れの味が詰まっている - ライブドアニュース
神保町のカレー屋「ボンディ」があのジャガイモを出すのはなぜ?付け合わせに隠された創業者の愛情 | Rettyグルメニュース