『おちこぼれフルーツタルト』感想

きららアニメ。きららだけど、下ネタ多め。そんな作品。

下ネタと言っても、そこは流石にきららアニメと言うべきか、『生徒会役員共』のようにセ〇クスやオ〇ニーのネタは全く登場しない。ではどのようなネタが用いられるかと言うと、身長や胸囲といったからだのことや、あるいはパ〇ツや尿、性癖などである。そのようなことをキャラクター間でコミカルに突っつき合うというのが、この作品の特徴だ。それを小気味のいいギャグとして捉えるか、あるいはお互いを「馬鹿にする」下品な作品だと取るかは、見る人の好み次第だと思う。個人的には、わずかに違和感を抱きつつも、全体ではずっと楽しんで眺められた。

きらら作品を比較するポイントとして、テンポとキャラクターが挙げられると思う。テンポについては、この作品はよく練られていた。お互いに突っつき合うのが、なんともリズムが良くて見ていて妙に心地が良い。随所で用いられるデフォルメされた絵やMONACAによる音楽も良い効果を生んでいた。

続いて、キャラクターについて。この手のアニメにおいては、キャラの魅力は単体では存在できなくて、個々の関係性によって描き出される部分が大きい(所謂ハーレム系の作品だと全然違ってくるように思える)。『恋する小惑星』などは、部活という場を用いて、各学年のキャラの交流を(それこそ星座のように)完璧なバランスで美しく描き出している作品だった。それに対して、『おちフル』においては、同じ寮に住むという非常に強力な手段が用いられているのが印象的だ。一緒に住んでいるから、キャラクターの距離感が近くなる。距離感が近いというのは、お互いに突っこんだ会話をし合うということ。そうした親密なやり取りの中で、個々のキャラが鮮明に浮き上がっていたのが非常に良かった。

逆に微妙だった点も書いておく。胸囲や身長への言及が少し執拗であるのはやはり気になってしまった。みんな違ってみんな魅力的なのだから、そんなにそこに拘らなくていいじゃん、それを言われて悔しがっているキャラがかわいそうだし、という思いを頭の片隅から消すことが出来なかった。その他には、作中を通して、穂歩さんがイライラを買いやすいように描かれているのも引っかかった。折角、同居人のマネージャーという美味しい立ち位置のキャラなんだから、所謂「おっさん」っぽい側面を押し出すばかりではなく、もう少しフォローを入れることでより魅力的に描けるのではないかと感じた(原作から眉毛のデザインが変更されているのを見ると、意図的に「萌え」の対象から外しているとも読み取れる)。まあでも、こういうのはやりすぎなくらいが実はちょうどよくて、変にセーブをかけると失速してダメになってしまうのかもしれない。

キャラ的にはみんな好きだけど、特にロコちゃん、はゆちゃんが好きだった。あと、個人的に佐倉薫さんの声が好き(中一の頃にぷよぷよ20thでウィッチを使っていたので)なので、そのつながりでチコちゃんも気に入った。