The Smiths - The Queen Is Dead (1986)

https://i.discogs.com/R-480691-1470463356-8185.jpeg?bucket=discogs-images&fit=contain&format=auto&height=600&quality=90&width=600&signature=UULXP6Z2TDgSpqgLEoA9jtWoH4iOtKTqab17GQvw/Iw%3D

先日久しぶりに聞いて、改めて良いなと思った。『The Queen Is Dead』は、80年代のイギリスで活躍したバンド、ザ・スミスの3枚目のアルバムだ。それまでの特徴だったジョニー・マーの複雑で美麗なギタープレイを主体としたポストパンク風のサウンドから転じて、コードをシンプルに鳴らしたギターポップ路線の作品になっている。バンドのディスコグラフィの中でも人気の高い作品だけど、自分もこれが一番好きだ。

特に好きな曲を3つ挙げる。まず、M-3「I Know It's Over」について。ゆったりとしたバラードで、モリッシーによる歌詞が良い。ところで、このブログの音楽レビューでは度々歌詞について言及しているが、別に自分は歌詞カードを熱心に読み込むタイプではない。日本語であるにせよ、英語であるにせよ、まず音として好きになることから入る。それから繰り返し聞いていくうちに、短いフレーズの単位で何となく言葉が頭に入ってきて、さらにまた何度も聞いて反芻することで少しずつ自分にとって意味のあるものになっていく。そんな風にして、この曲に登場する「Oh Mother, I can feel the soil falling over my head」という一節がいつからか好きになっていた。土が、頭の上に降ってくる……

それから、M-7「The Boy With The Thorn In His Side」について。この曲はとても明るい曲なんだけど、聞いていると、底抜けの明るさの中に何とも言えない物悲しさが秘められているような気がしてしまう。切なさを感じるのだ。楽曲の中のどの要素がそのような効果を生んでいるのかを具体的に解き明かしてみたいのだけど、残念ながら自分にはそのための知識は備わっていないから、感覚的な記述をすることしかできない。とりあえず言えるのは、ギターが綺麗すぎてヤバい!ということ。

最後に、M-5「Cemetry Gates」について。この曲がスミスの曲の中で一番好きかもしれない。気分を明るくしてくれる最高のポップソングである。ドラムとベース、そしてギターが、16分のリズムで心地よくグルーヴする。そしてこの曲も、ギターがあまりにも綺麗すぎる。何と言えば良いのだろう、性急に変化していくコード進行に、余計なものを一切削ぎ落としたような最上級の美しさを感じる。それからもちろん、モリッシーの歌唱も最高だ。またこの曲については、『Rank』に収録されているライブ版のバージョンも最高なので、そちらも是非おすすめしたい。ジョニー・マーとサポートのギタリストの二人でギターを演奏しているのだけど、どちらも音色がめちゃくちゃ良くて、しかもその二つがお互いを補いようにうまく合わさっている。最高のアンサンブルだ。

以上三曲に加えて、バンド屈指の人気曲である「There Is A Light That Never Goes Out」なども収録されている本作は、初めてスミスを聞くにはもってこいの作品だろう。スミスのことは知らなかったけどこのレビューを読んで興味を持ったという方がもしいらっしゃったら、是非聞いてみてほしい。