2021-06-11 I・N・M

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何か正しいことになる
何が正しいことになる
俺は俺でいるために
ただ戦っている精一杯
そこで名も知れず 伝えることもなく
立っていたんだ 歌っていたんだ
ずっと何も見えず そばに誰も見えず
立っていたんだ 歌っていたんだ

syrup16g「I・N・M」)

僕が僕であるために勝ちづけなきゃならない
正しいものは何なのか それがこの胸に解るまで
僕は街にのまれて 少し心許しながら
この冷たい街の風に歌い続けてる

尾崎豊僕が僕であるために」)

自分が自分であるために、という歌を歌ったシンガーが二人いる。「勝つ」ことが必要であると歌った尾崎に対し、五十嵐は「勝ち」を求めることはしない。いやむしろ、彼は自分が負けるべき人間であるとすら自負しているだろう*1。それでも、五十嵐は戦いの舞台に立つ。勝つためじゃなく、ただ逃げずにそこに精一杯の気持ちで存在する。何が正しいのか分からなくとも、とにかく戦う。苦し紛れでも、泥臭くても、その姿は何よりも美しい。

強い力は、それを有する者に弱い者に対しての傲慢な思い上がりを抱かせる、と思う。弱い者は同じく弱い者を思いやれる。だから俺は弱くありたい。その中でいくつもの矛盾や困難が生じようとも、それらから逃げずに戦いたい。その道の先にあるのは、卑屈でも甘えでもなく「やさしさ」であると俺は信じてたい。そして、俺は何でも黙って器用にこなせるタイプのやつよりも、できないことに苦労してまたそのことに真摯に向き合っているやつが尊敬できるし好きだと思う。彼らを師として生きる上での志を教わりたい。

弱くありたいと思いつつも、それは決して簡単ではなく長年挑んでは失敗続きだ。現実社会の中における弱さゆえの精神的ストレス、自分の中での強さを求める合理性との矛盾またその他いくつもの矛盾や葛藤が精神的に伸しかかる。それでも、俺は「俺である」ために戦い続けなけらばならない。戦いはまた明日へと続き、死ぬまで終わることはない。また来週も俺は「I・N・M」を聞くのだろう。

*1:「負け犬」「土曜日」