2022-12-05 ディスコミュニケーションという絶望/鶴見済のブログ良いよ

他人とまともな意思疎通ができない。
そんな時間をずっと過ごしてきた。今は昔に比べれば、ほんの少しだけ状況はマシになっている。だからこそ、そのディスコミュニケーション(意思疎通ができない)状況がどれだけ地獄なのかが分かる。他者からの救いの手が決して届かないというのは、すごく絶望的な状況だ。

 

高校生の頃に『ARIA』という漫画にハマった。漫画の中で自分が特に好きだったのが、アリス・キャロルというキャラクターだ。
彼女は水先案内人として卓越した能力を持っているがゆえに、周囲から浮いていた。また、生来の性格の問題などもあって、周囲の人間とうまい関係を築くことができなかった。
そんな彼女も、水無灯里というキャラクターと出会って変わっていく(Navigation21 春一番)。彼女に起こるのは、決して劇的な変化ではなく、すごくゆるやかな変化だ。彼女が少しずつ変わりながら、一人前の水先案内人になっていく。急に人が変わることなんてなく、変化の過程を描いてくれるのがいい。

(僕は完全に後追いでこの漫画にハマったのだけど、ちょうど完全版が刊行されていたときだったから、数か月おきに刊行される新刊を買うという形で、この漫画を読めた。つまり、僕自身現実の世界で、ゆっくりしたペースで作品に向き合えた。それがよかったところはあると思う。)
(これからアニメを見る人は、一気見なんてせずに、少しずつ見ていくことをおすすめします。)

 

どういう風に生きるか? 友達が書いた文章や、京大のゼロ研の『リフレイン』なんかを読みながら、そんなことをぼんやり考えていた。”やりたいこと”をビシッと定めて生きるか、もっとゆるく生きるか。自分はどうしたいんだっけ、って考えてから、いやどうしたいかよりももっと自分(という固有の人間)の状況を見つめてみるのが大事よなって思いなおした。
それで、自分が今の自分を形作るに至った過去の出来事を思い出してみようとして、何となく『ARIA』のことを思い出し、それで漫画を読み返していた。
自分とアリス・キャロルの出会いを、忘れずにいたい。

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関係ないけど、最近鶴見済のブログをちょこっと見ていた。
例えばこの記事なんかなかなか良くて、うんうんと頷きながら読んだ。

よかったら読んでね。

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