Early Day Miners - Let Us Garlands Bring (2002)

※2020年11月2日 投稿
※2021年1月16日 体裁の調整

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秋も深まり、冷たい風が皮膚を刺すようになってくると、心も冷え切ってしまうのか、どういうわけか寂しい気持ちになってくる。そういうときは、心の隙間を埋め、孤独の中にどこか一人で生きる力を与えてくれるような音楽を、無性に聴きたくなる。

Early Day Minersは00年代アメリカのインディーロック/スロウコアのバンドで、本作『Let Us Garands Bring』は彼らの2ndアルバムだ。静謐で、冷たさの中に暖かさを感じさせるような繊細なサウンドが特徴的で、ちょうどこの時期の空気感にすごく合う。

M-3「Offshore」は、個人的に今作随一のキラーチューン。前半では、どこか不穏で儚い、夢見心地な音風景が描かれる。物憂げで輪郭のぼやけた曖昧なサウンドは、まるで静かな波打ち際のように、延々と小さな強弱の変化を繰り返し、時間の感覚を霞ませる。ただ、ドラムがライドシンバルを一度鳴らした瞬間に、空気が一変し、音の中に確かな緊張感が生まれる。ベースとドラムが激しさを増していき、それに合わせてギターも少しずつ熱量を帯びていく。それから、ギターが一気に感情を爆発させるようにして大音量でコードをかき鳴らす。メロディアスなギターは、空高く打ち上がり花開いては消えていくように花火のように、儚くて美しい。そして、打ち上げ花火が一発で終わらないのと同様に、この曲における感情の爆発も一度では終わらず、何度も何度も、しかも段々と熱量を増していくようにして繰り返される。そうした反復の後で、また唐突に音像は急激に変化し、激しさを増す。そして、微かに余韻を感じさせながらもあっさりと曲は完結する。その潔い終わらせ方も見事だ。