2021-03-23 桜

暖かい空気と満開の薄桃色が全てを優しく溶かす。映画館を出てジュンク堂に立ち寄る。店内で大声で電話をする中年は少し迷惑に感じられたが、その声をよく聴いてみると中々良いトーンと良いリズムを持っていて妙に心地がいい。椅子に座って本を読むふりをしてその人の声をじっと聴いていたら、そのうちどこかへ行ってしまって残念に思えた。本屋を出る。交差点では、若者たちが大声ではしゃいでいる。少し進むと、街路のベンチには、コンビニの酒とつまみで一服しながら談笑する勤め人たちがいる。今日は何だか、みんなが愛すべき者たちに見える。声をかけたりはしないけど。池袋からの帰り道、いつもと違う道を選んで帰った。

3月23日。『ARIA The CREPUSCOLO』のレビューに代えて。