2023-06-20 暗黒散歩

なにか特別な瞬間があったわけでもなく、少しずつ少しずつ、身体がバラバラになっていく。そのまま暗い塊に飲み込まれる。暗い場所の中で、尋問が始まる。お前は何をしているのかと問われ、ただ曖昧にうなずく。明確な答えなど用意できるわけない。

そいつは嘲笑うような笑みを浮かべて尋問を続ける。ただそれらしい答えを紡ぎ続ける。答えはいずれも場当たりで一貫性などありはしない。

暗闇に目が慣れてから、そいつを無視して歩き出す。目的地は決めずに、とにかく歩く。そいつは相変わらずの嫌らしい笑みを浮かべて後ろを付いてくる。

突然振り返ってそいつをぶん殴ろうとしてみる。かわされる。そいつからこちらへ暴力を振るってくることはなく、ただ言葉と表情のみを使ってこちらを追い詰めてくる。

 

バラバラになりそうな身体を、音の振動を使って何とか繋ぎ止めた。それも半日くらいしか持たないだろう。