Pixies - Doolittle (1989)

※2020年9月23日 投稿
※2020年12月2日 加筆修正、関連記事の追加
※2021年1月16日 体裁の調整

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1989年に4ADからリリースされたピクシーズの2ndアルバム。

誤解を恐れずに言えば、彼らの音楽は「かわいい」。ドラム・ベースの演奏は、基本に忠実とでも言えばいいのか、タイトで堅実な響きを放っている。派手なフレーズを見せびらかすのではなく、シンプルな音を奏でているところは、舌足らずという言葉がちょうど似合うような感じだ。それに対して、ギターとボーカルはかなりはっちゃけている。例えば、M-1「Debaser」を聞いてもらえれば分かると思う。ギターは奇妙な風に歪んでいて、ボーカルは何だかよく分からないテンションで絶叫している。各楽器のそのバラバラで不揃いな姿には、あどけなさと狂気を兼ね備えた子供のようなイメージを想起させられる。

しかし、彼らの音楽を「かわいい子供」という言葉で以って形容するには、ブラック・フランシスの容貌とその声は強烈すぎる気もする。(これは彼のパブリックイメージでもあると思うのだが)勤勉な人たちをケラケラとからかうような、そういう「ひねくれた大人」のような側面も併せ持つのもまた事実だろう。そんなことを考えていると、『Doolittle』(怠け者)というのは巧いタイトルだなと思えてくる。

個人的ベストトラックは、M-3「Wave Of Mutilation」だ。狂気と痛快さの中に、わずかに見え隠れするセンチメンタルが、心の青いところをくすぐってくれる。

 

 

関連作品

ダイナソージュニアも、ピクシーズと同じくアメリカの代表的なオルタナのバンドである。両バンドのフロントマンには、どちらも同じ年にマサチューセッツに生まれた者同士という共通点もある(やはり若いころからお互いに意識し合っていたのだろうか)。

na2winter.hatenablog.com