Dinosaur Jr. - You're Living All Over Me (1987)
※2020年11月29日 投稿
※2020年12月2日 関連作品の追加
※2021年1月16日 体裁の調整
SSTからリリースされた、ダイナソージュニアの2ndアルバム。
マーフによる焦燥的な熱を帯びたドラムと、ルー・バーロウ(セバドー、フォーク・インプロージョンなどでも活動)による躍動感のあるベースサウンドもそれぞれ魅力的だが、何よりも異様な存在感を放つのは、J・マスシスの直情的で荒々しいギター。かすかに甘いメロディーを口ずさみながら奏でるそのギターサウンドは、ハードコアパンクの流れを汲んだ暴力性に溢れていつつも、それでいて同時に、繊細で感傷的でもあり、ひどく屈折している。その奇妙でポップな攻撃性こそがこのアルバムの魅力だ。
そして、彼らの音楽には、爆音がよく合う。例えば、疲れていて中々動く気になれないとき。例えば、無性にイライラしながら帰路に就くとき。例えば、ひどくネガティブな気分に陥っているとき。ひとたびイヤホンを耳に刺して、M-4「The Lung」を再生し、プレイヤーの音量を上げていけば、気が狂うほどの熱と解放感の中で、憂鬱や倦怠はどこかへ吹き飛んでくれる。
最も印象的な楽曲は、キュアーのカバーでもあるM-10「Just Like Heaven」。奏でられるのは、原曲を極端に歪ませてさらに疾走感をブーストしたようなサウンド。苛立ちも、後悔も、感傷も、全てを飲み込むようなギターノイズには、どこか優しさのようなものも感じる。そして、リスナーを急に冷たく突き放すかのように、二度目のコーラスに入ったところで、楽曲は唐突なブツ切りの形で幕を閉じる。その天邪鬼な終わり方も、面白い。
関連作品
ピクシーズも、ダイナソージュニアと並んで有名なオルタナティブロックバンドだ。ハスカードゥ(SST在籍)から影響されているという点も共通している。