RAY - Pink (2020)

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「『アイドル×????』による異分野融合」*1を掲げる4人組アイドルグループRAYの1stアルバム。品定めするような意地悪な気持ちで、このアルバムを聞いた。

前情報として、「シューゲイザーオルタナティブ、emo、メロディックパンク、激情ハードコア、lDM等様々な90s要素を濃縮還元したアルバム」*2という謳い文句を仕入れていた。これを読んだとき挙げられているジャンルの雑多さに、そんなことある?と思ってしまったのだが、実際に聞いてみると、確かにそんなことあった。

エリオット・フレイザーリンゴ・デススター)や管梓(For Tracy Hyde)をはじめとして名の知れた作曲家たちが楽曲提供を行っていて、どの曲のオケも一定以上のクオリティに仕上がっている。また、楽曲の一つ一つに何かしらの明確なコンセプトがあるのもよく分かる。ただ、個人的にはボーカル部分にかなり違和感を覚えた。良くも悪くも、BABYMETALのような「アイドル×メタル」としてのキャッチーなものを打ち出せている(この調和が可能となっているのはメタルという音楽の特性のおかげでもあると思うが)ようには感じられず、嫌な言い方をすれば、サブカルチャーとしての音楽の嫌のところをつぎはぎして作り上げた、俗悪なキメラとでも言えそうである。

とは言え、グループに掲げられた「異文化融合」というコンセプトを見れば分かるように、そのキメラ感こそがRAYの本質であり、そして魅力なのだと思う。楽曲の強度が低ければこのコンセプトは瓦解してしまいそうだが、先にも述べたようにこのアルバムには質の高い楽曲が揃っている。違和感まで含めて自分の中で飲み込めるまで聞いてみよう、という感想に最終的には落ち着いた。

 

*1:公式サイト(RAY Official Website)より。

*2:グループのメンバーである内山結愛さんが書いているnote(《特別編》RAY の『Pink』を聴いてみた編|内山 結愛|note)より。ちなみにこの人は毎週noteにディスクレビューを書いているのだが、その盤の選び方が、サブカル野郎の好きなところを的確に突いている。そのバックに何者かがいることは明白で嫌な気もしてしまうのだが、結局自分もその辺りの音楽が好きなので、ホイホイと釣られてしまって定期的に覗いている。