2021-01-17

東京駅周辺をぷらぷら見てきた。丸の内の地形は特殊である。まっすぐ長い道が垂直に交わること、街区一つ一つが大きくて街全体が低密であること、皇居を取り囲む形で堀と広場が広がっていること。東京駅前から皇居の方にまっすぐと伸びる行幸通りの美しさは有名だ。それとは別で、今日は良いものを見た。

それは、堀の傍から皇居の側を見た景色である。前述したような東京駅からの眺めにおいては両サイドに高層のビル*1が目に入ってしまうが、このアングルではそれがない。高層の建物を意識することなく、遠くの方まで見渡すことができるのだ。また、良かったのはそれだけではない。夕暮れの時間で、天気が曇りだというのも良かった。淡い暗さの雲が、まるで「山」のように映ったからだ。日本の田舎の原風景として、遠くに見える山地の素晴らしさはよく語られる。僕も田舎者であるから、めまいがするような高層のビルの群れよりも、やはりそういう風景の方に落ち着きとノスタルジーを覚える。方角的には西、つまり富士山の方向であるというのも良い。 

いまいちパッとしない写りのものではあるが、写真を何枚か貼る。

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有楽町駅の方から、堀を左手にして北へ。

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橋の上を撮った写真。地平線上の黒い影がビルと林、その奥に見える色の薄い影が雲。

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水と塀を撮った写真。良い暗さだ。

*1:「高層」の定義は難しい。かつては高さが百尺=31メートルで統一されていたのが、建築基準法が改正され、より高層のものが作られるようになっていった。丸の内においては、前川國男による地上127メートルの東京海上の新しいビルの計画(1966年のことだ)が「美観論争」を巻き起こしたという。