『リリィシュシュのすべて』感想

ネタバレ含む(一応)。

 

14歳。思春期。第二次性徴。中二病。良心というものは、一体いつから人間に宿るのだろう。

中学生たちは、しばしば「悪い」ことをやってしまう。大人たちは、それらを最低な行為であると一喝する。それは叱るべき行為であるのだろうけど、でもきっと学校社会の抑圧の中で何とか生き延びるために不可避のものなのかもしれない。彼らは、みんな生きるのに必死なのだ。苦しい時間だね。

2001年公開の映画『リリィシュシュのすべて』は、現代の地方都市を生きる中学生たちの現実を強烈に描き出す。その表現に妥協はない。いじめ、万引き、窃盗、性暴力、自殺、殺人。誰が悪いでもなく、主人公たちは辛い現実の中でみんなひどい目に遭っていく。そんな残酷な現実とは対照的に、どこまでも広がる田園とリリィシュシュの暗い音楽が、とても美しい。心象風景ってこういうもののことを言うんだろうか。