『ラーメン二郎 池袋東口店』/池袋

突然思い立って、ラーメン二郎に初めて行ってきた。一度は行かねばとずっと思い続けていたが、念願が叶った。

予想していたことではあったが、正直、キツかった。店内にいるのは中年男性ばかり。『用心棒』や『千里眼』(これらはどちらも所謂二郎系ラーメンのお店だ)では学生など若者層の客が多くてまだフレッシュな雰囲気があるのと比べると、どうしても空気が重いと感じてしまう。むかしYouTubeGAUZEの消毒GIGのライブ映像を見ていた時に客層がおっかないと感じたことがあったが、それを思い出してしまった。ハードコアである。もちろん、お店に来ている方たちに罪は全くなくて、俺が面食らってしまっただけなのだけど。店内の内装が無機質であるのも、殺伐とした雰囲気を助長していた。先に挙げた二店はまだ親切心があるのか、麺の量が選択できることを示すチラシがあったが、このお店ではそれが見当たらず、よく分からずに普通盛りで頼んでしまった。初見にはつらいよ。

席に座ってからも緊張が続いた。店内にいたスタッフは、手慣れた様子の方一人と、見るからに新人の女性の方(外国出身である様子だった)の二人。ベテランの方が新人の方に色々と教えているのだが、真剣な雰囲気である。教える方も、手柔らかに指導しようとしている感じはあるが、日本語ネイティブではない新人さんと意思疎通を図るための言葉選びに苦労しているような様子で、見ていて気まずいような、重苦しいような。ちょっと怖かった。

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キタキタキタ。初めてお目にかかる二郎のラーメン。うん、すごい迫力。まず、匂いと油っぽさがすごい。豚肉(?)は、『千里眼』のものと比べると、全然違う。なんというか、本物の豚っぽさを感じた。クサくて、パンチがある。また、謎の油の塊(写真上部)の味もすごいインパクトがあった。本当に固体化した油の味がする。これは、トッピングの背脂なのだろうか。

半分を超えたあたりで、お腹がつらくなってくる。うう……最後まで食いきれるのだろうか。そんなことを思いながら箸と口を動かしていると、スタッフさんが出ていく客に声をかけた。もったいないので残さないでほしい、とのことである。こわっ! 言っていることはもっともなのだが、客に直にそれを言う店ってあるのか……自分が叱られるのは嫌なので、いっそう頑張って食べる。

何とか、完食。冒頭にも書いたけど、キツかった、っていう総評になってしまう。お店と、敬虔な二郎愛好家、それから食材に対しては、申し訳ないんだけど。このラーメンを食べるのは、半分を超えたあたりからは、ほとんど修業、あるいは苦行だった。

でも、このほとんど自傷行為にも似た食事には、恐ろしいほどの中毒性があるのだ。麺についても、重さとクサさの中に何とも言えない甘みがあり、思い出すと、口が恋しくなってしまう。つらくなるのは分かっているのだけど、それでも懲りずにまた『二郎』を食べに行って、そして途中でキツいキツいと心の中で唱えながら麺をほおばる自分の姿が想像できる。俺はマゾなのか。皆マゾなのか。