『東京現代建築ガイドⅡ 2000's』/松葉一清著

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1999年に刊行された本で、同じく松葉氏の1992年の『東京建築ガイド』に続く著作のようだ。1990年代に作られた200の建築物について、白黒の写真と解説文が続く。一時代に注目して取り上げている分、時代の輪郭がはっきりと見えて分かりやすい。特に、お台場など臨海部についての解説が、私の読んだ別の建築ガイドにはなかったため、ありがたさを感じた。また、解説文もきっぱりとしていて、あまりいやらしさがないのも良い。

いまいち掴めなかったことについても書いておく。総論として、90年代とは日本や東京にとってどのような時代であったかということが、まえがきに述べられてはいるが、「2000's」という意味深なタイトルが何を意味するかということの答えを、私は見つけられなかった。また、90年代という短いスパンに注目して、その間に建てられたものを集めて紹介するというのは、本書が刊行された当時においてはバブル崩壊後の日本を再考する上で価値があったのかもしれないが、2021年現在においては、わざわざ手に取って読んでみるほどの重要さがあるのかは、ほんの少し疑問である。そこも含めて味わってみるのが乙なのかもしれない。

 

CDを借りるためにやってきた図書館で見かけてついでに借りた本だったのもあって、パラパラパラと眺めただけで満足してしまった。中途半端にしか読めていないのに生意気書いてすみません。正直、自分がいま焦りすぎてしまっているのか、勉強のペース配分があまりうまく行っていない気がしている(ブログでは紹介していないが、ものすごいペースで大量の本を買ったり借りたりして、てんてこまいになっている)。自分がやっていることがしっくりと来ず、この本に対してももう少しじっくり腰を据えて向き合うべきなのではないかと悩んでしまう。まあでも、唾を付けるつもりで目を通しておくことも、視野を広げるという意味で十分価値がある行為なのかもしれない。あるいは、また何か気になることがあれば、もう一度本書を手に取って再読することだってできる。このようなところで今日のところは自分を納得させた。