『図面でひもとく名建築』/五十嵐 太郎、菊地 尊也、東北大学五十嵐太郎研究室編著

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図面を見てもそれが全然ピンと来ていないことをずっと感じていて、まずはここを何とかしないといけないと思い、先月の頭に購入して少しずつ読んでる。今は大体半分くらいまで来た。

本書では、見開きの右側のページに建物の情報を伏せた上で図面と簡単な問いを配置し、次のページにその答えを示す形が取られている。これによって、読者(主に想定されているのは紹介している建築物を知らない初学者だろう)は建物の形状について自ら想像を膨らませ、それによって図面の読解力を高めることができるようになっている。また、タイトルにもあるように、本書は歴史的な名建築を多く取り扱っているようだ。例えば、コルビィジェやライトなど、有名な建築家の作品(正直これらの作品すら私は本書を読むまで知っておらず、本当に不勉強だったのだなと感じる)が冒頭から登場し、それらの作品についての知識も得ることができるという一石二鳥の効果がある。

五十嵐氏自身はそうならないように気を遣ったとまえがきで書いていたが、正直素人には説明が簡素すぎて分かりづらいところも結構ある。また、これは出版の都合上仕方がないことではあるのだが、図面の大きさがこじんまりとした白黒のものに限定されてしまっているのも少し問題に感じた。それらの点については、別途他のもので補完しながら学習していくのが良さそうである(考えてみれば、これ一冊で全部ばっちこい!なんて本はそもそも存在しないか)。逆に、コンパクトであるからこそカジュアルな態度で読めるというのはありがたいところだな。