Pavement - Watery, Domestic (1992)

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だいぶ前からペイブメントをよく聞いているが、曲数がそこそこたくさん多いこともあって中々その全貌は掴めておらず、定期的に新しい発見がある。去年にも、友達がツイッターで「Frontwards」のリンクを貼っていたことからまたこのバンドの知らない一面に触れるという体験があった。曲自体はベスト盤で聞いたことがあったはずなのだが、その一曲を切り取ってフラットな気持ちで聞いてみると、めちゃくちゃに良くてびっくりして、それからまた一気にドハマりした。

『Watery, Domestic』は、その「Frontwards」が収録されたEP。時期的には1stアルバム『Slanted and Enchanted』がリリースされた1992年の終わりごろにリリースされた作品で、ドラマーのギャリー・ヤングが最後に参加した作品でもある。

内容としては、1stアルバムの延長線上にあるような作りとなっていて、粗い演奏とポップで変なメロディーを聞かせてくれる。繰り返しになるが、「Frontwards」が本当に良い。この楽曲を聞いているとき、ちょっとたどたどしい演奏と熱いメロディーに、しょぼい自分の姿を投影してしまう。どうしようもなくて投げやりになりながらもかすかな希望に懸けているようなこの切羽詰まった感じは、ほとんど奇跡的なまでに美しい。途中でギターの音が途切れそうになるところなんかも、ただのヘタクソ感の演出に終わっていなくて、楽曲の持つセンチメンタルな魅力を引き立てる良い効果を生んでいる。初期ペイブメントのエッセンスが凝縮された珠玉の一曲だと思う。