Neil Young - After The Gold Rush (1970)

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ニール・ヤングのソロ3作目にして不朽の名作。クレイジー・ホースをバックバンドに据えた前作『Everybody Knows This Is Nowhere』や、彼の代表曲「Heart Of Gold」を収録した次作『Harvest』も人気が高いが、個人的にはこの作品が最も好きだ。

とても静かで、透き通っている。曲のメロディーが良いのはもちろん、アレンジの良さによってそれはさらに引き立てられている。シンプルながらも、アコースティックギター、ピアノ、ハーモニカなどの様々な楽器の音色が丁寧に配置されているからこそ、作品の世界観が静謐で奥深いものになっているのだ。ヤングがその独特の歌声を多重に録音して織りなすコーラスワークも見事である。また収録曲の中には「Southern Man」や「When You Dance You Can Really Love」など、エレキギターを前面に押し出した楽曲もあるが、これらの曲においても激しさの中に静かな悲しさがあり、アルバム全体の統一感を保持した上で良いアクセントを付け加えている。

改めて、本当に充実した作品だ。アコースティックギターによる弾き語りナンバー「Tell Me Why」に始まり、ラストの「I Believe In You」~「Cripple Creek Ferry」まで、どの楽曲も味わい深くて甲乙つけがたい。その中で一曲だけを選ぶなら、やはりタイトルトラックでもある「After The Gold Rush」になる。この曲は、ホルンによる間奏がとても良い。寂しくて悲しいような、あるいは懐かしくて嬉しいような、そんな様々な気持ちを起こさせる名演奏である。メロディラインをそのままなぞっているだけなのに、そっと心に寄り添ってくれるような柔らかさがあるから不思議だ。どこかの川辺の落ち着いた場所でこの曲を聞きながらのんびりしたいなあ。