『まちを想う:西村幸夫講演・対談集』/西村幸夫

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2018年3月に定年退職をなされた西村幸夫先生の講演・対談集。特に第四章のインタビューが印象に残った。歴史や時間といったものからの視線をまちに向けるということや、地域住民の立場に立って将来を考えていくのが重要であるということは、現在ではよく言われることではある。西村先生は、ずっと前からそのようなことを実践してきた人物であり、また口先だけではなく偉大な実績もある。

先生が本の最後のインタビューで言っていたのが、弱者のためのデザインを行いたいということ。都市計画は力や権力と結びつきやすい性質を持っているが、そうではなく、地域住民主体のまちづくりを進める必要がある。その意味で、都市デザイナーはあくまで地域を応援する存在であって、地域が動き出してからは消えてもいい存在である、とのこと。

言うは易く行うは難し。現実にそれを実行するのは大変だ。先生はその実践や研究の成果を紹介する書籍を数多く刊行しているので、そちらも読む必要がある。というか、この本も結構ガバガバ読みしているから、そのうち読み返さなきゃ。