2021-05-15 変化するアキハバラ

昼に秋葉原へ遊びに行って衝撃を受けてしまった。ソフマップのノベルゲームコーナーが別の建物へ移動している!

どうやら、ソフマップの店舗の一部が閉業したのに伴って売り場の再整備が行われたらしい。そのためにパソコン・デジタル館の4階と5階にあったノベルゲームの売り場が、裏通りの別の建物へ移ってしまったようだ。

 

あの空間は、自分にとってアキハバラの象徴のような場所であった。ビルのワンフロアに所狭しとエロゲが詰め込まれている様子は、ある種狂気的ですらあった。いつかの春に偶然の思い付きで立ち入ってから、すっかりその虜になってしまい、何年も足を運び続けた。その異様な様子に不思議と心が救われることが何度もあった。

裏通りに面するビルの2階と3階に、新しい売り場はある。少し奥まった場所へ移ったこと、それ専門の売り場が独立して設けられたこと(1階とは動線がほとんど分離されている)、売り場の面積が減少したことなどが影響しているのか、空間における萌え絵の充満具合は以前よりも増していた。ある意味、カルト的な趣はより強くなっている。

しかしながら、寂しい気持ちはある。思うに、本来奥へ隠されるべきはずのものがなぜか前面に出てしまっているという状態が、自分にとって魅力的であったのだ。大通りに面した8階建てのビルの中でなぜか4階と5階の全面がR18のコーナーになっていて、またその側面の壁には、R18のノベルゲームの広告が堂々と掲載されている。そこには、欲望が街に丸出しになっているような気持ち悪さがあり、またその気持ち悪さが僕の心を激しく掻き立てていた。今までが言わば「不適切」な状態で、新しく整備されたものが「ふさわしい」状態であるはずなのだが、やはりどこか寂しい。

 

アキハバラは変化を続けている。むしろ今までの状態も、街の歴史の中から見ればたったひとときの姿でしかなかったのだ。僕も歴史の変遷を経験できる程度には街によく馴染んできたのだろう。過去を懐古する立場になったのだなあとしみじみ思いつつも、これからのアキハバラに対して強い期待を寄せている。これからも「オタク」にとっての救いの街であることを。

そんなことを思いながら、街を巡る。今まであんまり入っていなかったところにも足を運んでみよう。軸中心派、とらのあなレコファン、ミスターミニット。どの場所もとても魅力的で、いつの間にか何だかフレッシュな楽しさが心に湧いてくる。自分にとってのアキハバラは、まだまだ知らないことだらけだ。また来よう。そう心に決めて、あえて都営バスを利用して家に帰った。はじめてのことだった。また来よう。