2021-05-19 u

西村幸夫先生の『都市から学んだ10のこと まちづくりの若き仲間たちへ』を読んで、先生のことがより好きになってしまった。先生は1973年に都市工学科へ入学し、それから学部を卒業するまでに4年を要したらしい。なぜそうなったかと言うと、大学で提供されるカリキュラムに違和感があったために大学の勉強に打ち込むことができなかったからであるようだ。

日本がまだ成長を続けていた70年代当時では、ピカピカの高層ビル群を建てる、というようなモダンな都市像を思い描く人が主流派であったことは想像に難くない。学生であった西村先生は、そのような考え方に強い違和感を覚え、コミュニティや都市の記憶を大事にすべきであると考えた。そして、二年遅れで大学院に入学し、大谷先生の下で本格的に研究活動を始める。そこで西村先生の思いや関心は研究として実を結び、また社会全体の潮流としても都市における歴史が重んじられるようになっていく。現在の都市工学科の教育では、歴史というものが非常に重要視される。西村先生は2018年春をもって東京大学都市工学科を退職されたが、現在の都市工のあり方は、先生からの絶大な影響を受けて成立したものだろう。

自分を西村先生と同格に置くつもりはないが、僕も僕なりに色々と学科に対して思うところがある。偉大な先人である西村先生を一つの目標としながら、自分が真に取り組むべきことを見定めねばならない。

 

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安達としまむら』の1巻を読んだり、『スリーアウトチェンジ』をずっと聞いたりして、頭の中が真っ青になってしまっている。夜に池袋周辺(演習の設計の対象敷地として上池袋の地区が定められているのだ)を3時間もかけて入念に歩いたのだが、その道中でもスーパーカーを再生していた。その音を聞きながら、大塚駅前の広場など、いくつもの場所で変化が起こっているのに驚かされる。置いてけぼりを食らうような感覚だ。

街は更新されて、姿を変えていく。人も変わっていく。せめて過去の想いを忘れないように。