久しぶりの晴天だった。昼下がりに電車に乗り込んで北へ移動する。ガタゴトと揺られながら、イヤホンを耳に入れて窓の外を眺める。音と風景が混ざり合って刹那的な感傷の情景が浮かび上がる。いい気分だ。
駅を出て、目的地へと歩く。
今日の目的地は、JR赤羽駅を出て西の方角へ5分ほど歩いたところにある団地だ。60年代に日本住宅公団が造成した公団住宅である。かつては「赤羽台団地」と呼ばれていていたが、現在は建て替えが進むとともに「ヌーヴェル赤羽台」と呼ばれるようになっている。
さて、今日わざわざ赤羽台まで足を運んだのにはいくつか理由がある。一つは、ヌーヴェル赤羽台の環境を見ておきたかったから。ここはUR都市機構による団地のリノベーション事例として有名だ。集合住宅に関する知見を養うためにも、一度現地に赴きたいと以前より思っていた。
もう一つの理由は、スターハウスを見ておきたかったから、というもの。旧赤羽台団地内には、「スターハウス」と呼ばれる独特の形をした住棟があった。現在は、改修されずにかつての姿のまま残っている状況である。それが、2019に国の登録有形文化財に登録された。そんなスターハウスを今後リノベーションしようという話があるらしい。そして、その改修の企画案をURがコンペ形式で一般から募集している。締め切りは8月末。
夏休み。流石に二度目の三年の夏を棒に振るわけにもいかない、振りたくないので、何かしら自分の為になることにチャレンジしたい。以前からそう思っていたところだったので、URのコンペの話を耳にしてこれは良いかもと思った。昨日の土曜日にはコンペの説明会(的なウェブのイベント)にも参加したりもした。が一方で、なかなか自分の頭の中にイメージが湧いてこない。またコンペへの参加を即決できるほど気持ちが固まり切ってはおらず、どっち付かずの悶々とした状態になっていた。とりあえず考えるより行動してみようということで、赤羽台まで足を運んだというわけだ。
自分が本当にやりたいことが見えてきているかもしれない。でもそのためには技術も知識も全く足りてなくて。だから努力しなければいけない。始まったのなら、貫くのみ。その哲学を今一度真摯に心に刻んで、謙虚な努力を。青すぎる空を見上げながらそんなことを思った。