2022-11-26 酸性雨

雨が降っていた。雨は、私の頭の上に落ち続けた。ずっとじっとしていると、雨は私の頭皮に沁み込んでいった。私は黙ってそれを感じていた。決して動くことはしなかった。
しばらくすると、意識がだんだんぼやけてきた。ずっとむかしに学校の先生が言っていた話を思い出した。今の時代、雨は酸性で身体に悪いものになっているらしい。私は、皮膚を透過した有毒な雨が自分の脳を侵しているのだと思った。それでも、頭がダメになっても構わないと思いながら、私はじっとし続けた。
私は、何かを待っていた。それは何なのか、見当もつかなかった。ただ、じっと待っていれば、その何かがやって来ることを私は直観していた。いつかじゃない、もうすぐやってくるのだ。そんなことすら思っていた。
数時間経った頃だろうか。突然、私の目の前が真っ白になった。とてつもない強い光が現れたのだ。私は自分が待っていたのはこれだと思った。そして次の瞬間、大きな衝撃が私を襲った。雷が私の身体に落ちたのだ。その衝撃に、朦朧としていた私の意識は覚醒した。

そして、私は目を開ける。そこにあったのはただの暗闇。雷なんて落ちてなかった。ただ、私の頭の上に、雨が降り続けていた。