音楽

冨田勲 - 展覧会の絵 (1975)

冨田勲は1950年代からテレビ番組の劇伴など多岐にわたって活躍した作曲家だ。現在だと、環境音楽の文脈からも語られる存在だという印象がある。*1『展覧会の絵』は、1974年発表の『月の光』に続いて彼がシンセサイザーを用いて作り上げたアルバムの第二作で…

RAY - Pink (2020)

「『アイドル×????』による異分野融合」*1を掲げる4人組アイドルグループRAYの1stアルバム。品定めするような意地悪な気持ちで、このアルバムを聞いた。 前情報として、「シューゲイザー、オルタナティブ、emo、メロディックパンク、激情ハードコア、lDM等様…

パンコレ~voice actresses' legendary punk songs collection~ (2009)

01. Sex and Violence / 桃井はるこ(The Exploited)02. Basket Case / 池澤春菜(Green Day)03. White Riot / 清水香里(The Clash)04. Pretty Fly(For A White Guy) / 門脇舞以 (The Offspring)05. Anarchy In The UK / 田中理恵(SEX PISTOLS)06.…

lang - カイエ cahier (2020)

今年の春ごろ、langの『There is no reply, but sweet wind blew』(2018)にハマって、それから激情系ハードコア関連の作品を少し聞くようになった。2020年は何だか虚しい一年間だった気がするけど、このバンドを知れたのは今年の良かったことの一つかもし…

THE ROOSTERZ - φ(PHY) (1984)

6作目、大江慎也在籍時の最後のアルバム。バンド初期のストレートな荒々しさは、もはや見る影もない。空間系のエフェクトやキーボードの音色を効果的に用いたニューウェイヴサウンドは、暗く内向きで淀んでいる。 当時の大江さんの状態は最悪だったそうで、…

Portraits of Past - Discography (2008)

アメリカの激情系ハードコアバンド、ポートレイツオブパストの編集盤。2008年にリリースされたものではあるが、音源はいずれも1994-1995年の活動時に録音されたものだ。 彼らが何を思ってバンドにこの名を冠したのかは分からないけど、「過去の肖像画」とい…

Cap'n Jazz - Analphabetapolothology (1998)

ティム・キンセラ、マイク・キンセラをはじめ、後にUSインディー界隈で名をはせる人物たち*1が在籍していたバンド、キャップンジャズのアンソロジー作。バンド唯一のオリジナルアルバムから引っ張ってきた冒頭の12曲をはじめ、合計34曲が収録されている。 正…

Radiohead - OK Computer (1997)

※2020年12月2日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 「今一番好きな音楽は、どれもが、初めは受け入れられなくてそれから好きになっていったものなんだ」これは、レディオヘッドを好きな知り合いがかつて言っていた言葉である。 確かに、自分も同じだなと思う。…

SUGAR BABE - SONGS (1975)

※2020年12月1日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 東京、十一月の午前七時。夜の間にすっこり冷え込んでしまった空気の緊張を淡く溶かすように、朝の光は優しく降り注いでいる。起きたばかりの身体でそんな街を行くとき、このアルバムはぴったりのBGMになって…

Dinosaur Jr. - You're Living All Over Me (1987)

※2020年11月29日 投稿※2020年12月2日 関連作品の追加※2021年1月16日 体裁の調整 SSTからリリースされた、ダイナソージュニアの2ndアルバム。 マーフによる焦燥的な熱を帯びたドラムと、ルー・バーロウ(セバドー、フォーク・インプロージョンなどでも活動)…

Wiktor Stribog - Poradnik Uśmiechu OST (2019)

※2020年11月22日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整、加筆修正 自分で画像を貼っておいてアレなのだが、あまり直視したくないジャケットである。 本作は、動画シリーズ『Poradnik Uśmiechu』のサウンドトラックだ。動画は全6話でYouTube上で視聴可能。ショッキ…

Touché Amoré - Lament (2020)

※2020年11月21日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整、加筆修正 アメリカのポストハードコアバンド、トゥーシェ・アモーレの2020年作。 このバンドは「激情」*1のバンドなのだろうか。バンドの最新作である本作のサウンドは、ポスト・ハードコアの流れを汲みつつ…

I Hate Sex - Circle Thinking (2015)

※2020年11月19日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 カナダの激情系ハードコアバンドの1stアルバム。 彼らがどういう思想に基づいてこのようなバンド名を冠しているのかは分からないが、少なくともその音楽からは、反マッチョイズム的なアティチュードを感じる…

黒岩あすか - 晩安 (2017)

※2020年11月17日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 大阪生まれのシンガーソングライター黒岩あすかによる1stアルバム。 今作に収録されている楽曲は、黒岩さんの歌声とクラシックギターのアルペジオのみで構成されている。その音像は、シンプルであるがゆえに…

HUSKING BEE - GRIP (1996)

※2020年11月7日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整、加筆修正 HUSKING BEEの1stアルバム。 ランシドやバッドレリジョンの影響下にあるメロコアサウンドが魅力。同じPIZZA OF DEATHのハイスタンダードのように、8分で裏箔にスネアを刻むビート(これを何と呼べば…

GOMESS - あい (2014)

※2020年11月6日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 第二回「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」で準優勝を果たしたラッパーGOMESSが、2014年にリリースした1stアルバムで、三部作『あい』『し』『てる』の一作目。 自閉症を公言している彼の詩は、彼の過去のことや心…

Early Day Miners - Let Us Garlands Bring (2002)

※2020年11月2日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 秋も深まり、冷たい風が皮膚を刺すようになってくると、心も冷え切ってしまうのか、どういうわけか寂しい気持ちになってくる。そういうときは、心の隙間を埋め、孤独の中にどこか一人で生きる力を与えてくれる…

エレファントカシマシ - 明日に向かって走れ-月夜の歌- (1997)

※2020年10月25日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 ポニーキャニオン移籍後の第二作。一番売れたらしい。 前作よりもポップに落ち着いた感じでアレンジがまとまっていて、そのおかげで宮本の好古趣味がうまく作品に落とし込められている気がする。 M-3「風に吹…

エレファントカシマシ - ココロに花を (1996)

※2020年10月24日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 エレファントカシマシのポニーキャニオン移籍後の第一作。高校生の頃に好きだったアルバムだけど、サークルでコピーすることになったから聞き返した。 今作は、エピック・ソニー時代の、ある種独りよがり的と…

Squarepusher - Hard Normal Daddy (1997)

※2020年10月22日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整、加筆修正 スクエアプッシャーの2nd。 作中全体を通して、複雑に構成された高速のビートとゆらゆらと動くベースが耳の気持ちいいところをくすぐるような曲が多い。アルバム冒頭のM-1「Coopers World」は、パ…

Helloween - Keeper of the Seven Keys: Part II (1988)

※2020年10月15日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 ドイツのメタルバンドHelloweenの3rdで、ボーカリストのマイケル・キスク加入後の二作目。 音楽を聴き始めた中三の頃に、ニコニコ動画でメタルの名曲を紹介する動画を見てメタルにハマった。そこで紹介されて…

Guided By Voices - Alien Lanes (1995)

※2020年9月30日 投稿※2020年12月24日 体裁の調整、加筆修正 ガイデッド・バイ・ヴォイシズの8thアルバム。2020年現在、彼らは計32枚のアルバムをリリースしていて、正直に言えば筆者もまだほとんど聞けていないのだが、『Bee Thousand』と、ここで紹介する『…

XTC - Oranges & Lemons (1989)

※2020年9月28日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 ポップな時期のXTCの作品。 M-2「Mayor of Simpliton」は明快な歌メロが万人受けするであろう曲。複雑で流麗なギターリフや動きの大きいベースの音も気持ちいい。民族音楽風(?)なM-6「Poor Skeleton Steps …

Grazhdanskaya Oborona - Русское поле экспериментов (1989)

※2020年9月26日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整、加筆修正 ロシアのバンドの89年作。言語の壁もあり、あまり実態を掴めていないが、どうやらこのバンドはロシア国内では伝説的な扱いをされているようだ。 個性的なバンドサウンドだ。一言で言い表すならポス…

Pixies - Doolittle (1989)

※2020年9月23日 投稿※2020年12月2日 加筆修正、関連記事の追加※2021年1月16日 体裁の調整 1989年に4ADからリリースされたピクシーズの2ndアルバム。 誤解を恐れずに言えば、彼らの音楽は「かわいい」。ドラム・ベースの演奏は、基本に忠実とでも言えばいいの…

Cocco - ベスト+裏ベスト+未発表曲集 (2001)

※2020年9月22日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 Coccoのベスト。活動休止の後に発表された。 シングル曲が良いのは当然として、それ以外の曲も充実していて聞きごたえがある。特に、今作で初めて収録された未発表曲はどれも素晴らしい。しっとりとしたアコー…

Lily Chou-Chou - 呼吸 (2001)

※2020年9月20日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整、加筆修正 2001年公開の映画『リリイ・シュシュのすべて』から始まったプロジェクト「Lily Chou-Chou」のアルバム。同じく映画の劇中バンドであるYEN TOWN BAND(こちらは1996年公開の『スワロウテイル』に登…

Nirvana - Live And Loud (2019)

※2020年9月20日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 去年アルバムという形でリリースされた、1993年に行われたライブの音源を集めた作品。 ギターが二人いるだけあってその分厚みが増していて音が重い。「Scentless Apprentice」「All Apologies」「Blew」「Scho…

bed - via nowhere (2016)

※2020年9月19日 投稿※2021年1月8日 体裁の調整 歌を大事にしながらエモーショナルなギターを奏でている。Discharming manに対する敬愛を感じた。喧騒の夏が過ぎ、次の季節へ移ろいゆくその瞬間を切り取ったような音。

裸のラリーズ - Heavier Than A Death In The Family (2010)

※2020年9月17日 投稿※2021年1月16日 体裁の調整 裸のラリーズの編集盤。名盤とされている『'77 Live』から5曲、『Live 1973』から1曲を収録している。 延々と鳴り響く過剰なまでのギターノイズは、怪しげで狂気じみたものだが、その不穏さの中にある溶けるよ…